メッセージ2012年10月

住。人間の暮らしから、すぐれたデザインが生まれ、日常の一部となります。そして生活に喜びとか楽しさとか、温かい気持ちをもちこんでくれます。
さらに広く、何かを創り、表現し、それが人々に共有されることが、社会に新たな活力をもたらす鍵となるのです。

造ろう、「国立デザイン美術館」。ものづくりへの私たちのひたむきさと、粘り強い研究開発力を生かし、創造的な発信拠点を造りましょう。男女、子供、国籍の別なく参加できる開かれた場所。ジャンルを越えた活発なコミュニケーションが行き交う場所。独自のアーカイブづくりは、過去=現在=未来をつなぎます。
新しい現実をつくるには、先を見通す澄んだ目と、前向きな明るい心をもって、ひとりひとりが努力する必要があります。

私たちは、今までにないミュージアムの姿を描きつつ、デザインそして文化の力で明日の社会がもっと元気になることを望んでいます。

三宅一生

三宅一生(みやけ いっせい)

デザイナー。1970年三宅デザイン事務所設立。産地や企業との協働により独自の素材、新技術を開発し、ものづくりを行なう。93年機能と汎用性を備えた現代生活の衣服「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」、98年には一体成型による「A-POC」を発表。2004年三宅一生デザイン文化財団設立。07年21_21 DESIGN SIGHT開設と共にディレクター就任。同年、21世紀の社会や環境の課題に応えたいとReality Lab.を立ち上げ、10年「132 5. ISSEY MIYAKE」、12年「IN-EI陰翳 ISSEY MIYAKE」を発表。
03年、朝日新聞にデザイン美術館の設立を呼びかける「造ろうデザインミュージアム」を寄稿。
私たちが生きている社会にとってどのような価値があり、どのような貢献を果たすことができるのか、そして、すこしでもよい方向に社会が変わることを願いながら新たなものを生み出す工夫、それがデザインです。

世界を魅了する建築、プロダクト、グラフィック、ファッションなどさまざまなデザインのひとつ一つのなかに、それを創り出したデザイナーが願うくらしや社会を知ることができ、産業や経済をいかに活性化し、生活をいかに充実させてきたかを知ることができます。「国立デザイン美術館」はすぐれたデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造力を確かなものにして、よりよい社会を実現させる跳躍台の役割を担います。

青柳正規

青柳正規(あおやぎ まさのり)

美術史家/東京大学名誉教授。1944年大連生まれ。ギリシア・ローマ考古学者。67年東京大学文学部美術史学科卒業。69~72年ローマ大学文学部古典考古学科留学。文学博士。日本学士院会員。著書は、『皇帝たちの都ローマ』『トリマルキオの饗宴』(共に中公新書)、『ポンペイの遺産』(小学館)など多数。