世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
Victoria and Albert Museum

イギリス・ロンドン

万博から始まった世界最古のデザイン美術館

近代デザインのルーツのひとつは18世紀末、イギリスで起こった産業革命です。それによる工業化の成果を世界に誇るべく、1851年に第一回ロンドン万博が開かれました。一方、大量生産による粗悪品が市場を席巻しているのを憂えたウィリアム・モリスは生活と美術の融合をめざしてアーツ・アンド・クラフツ運動を起こします。こんな時代を背景に生まれたのが世界最古のデザイン美術館であるヴィクトリア・アンド・アルバート博物館です。
現在の建物は1909年に建てられたルネサンス様式の本館が中心です。ウィリアム・モリスが装飾を担当した部屋もあり、現在はカフェとして使われています。
23万点以上に及ぶコレクションと200万点以上の書籍や写真などの資料の基礎は、ロンドン万博の出展物をもとにしたものです。現在のコレクションは2000年にわたる歴史の中から建築、ファッション、写真、彫刻、現代デザイン、ガラス、陶磁器、家具、テキスタイル、ジュエリー、演劇など多岐にわたっています。ヨーロッパのものが中心ですが、かつてつながりの深かったインドや東南アジア諸国の文物が多いのも特徴です。浮世絵や漆器など、日本美術のコーナーも充実しています。これまでに靴やウェディングドレス、写真家のジュリア・マーガレット・キャメロン、イギリスのデザイナー、トマス・ヘザウィックなどの企画展を行ってきました。中でもファッションデザイナーのアレキサンダー・マックイーンやデヴィッド・ボウイなどの企画展は多くの入場者を集めています。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館はこの10年で70%以上のエリアをバリアフリー対応や、オリジナルのヴィクトリア調の装飾を復活させるために改修してきました。現在も「エキシビション・ロード・ビルディング」に新しいグランド・エントランスを作る工事が進行中です。インドや中国、中東などにある美術館とのコラボレーションや、紛争などで危機に瀕している文化遺産を保護する運動にも積極的に取り組んでいます。デザイン博物館の先駆的存在として、今も世界をリードする存在です。
日本美術を集めた東芝ギャラリー

日本美術を集めた東芝ギャラリー

オウムガイ(伝ヤン・ベルキン装飾)

オウムガイ(伝ヤン・ベルキン装飾)

伝アムステルダム、1620 年頃
アルルカン像

アルルカン像

ヨハン・ヨアキム・ケンドラー(ドイツ)、1738 年頃
ウィリアム・モリス・ルーム

ウィリアム・モリス・ルーム

「1600 年〜1815 年のヨーロッパ」展示室

「1600 年〜1815 年のヨーロッパ」展示室

Photograph by David Grandorge