世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

ニューヨーク近代美術館
The Museum of Modern Art

アメリカ・ニューヨーク

1929年、3人の女性のコレクションを元に創立されたニューヨーク近代美術館。近現代美術を中心に収蔵品を充実させてきましたが、開館間もない1932年に世界の美術館でも初めての「建築・デザイン部門」が新設されます。それまでの他の美術館が装飾や産業に重きを置いていたのに対して、それらから独立した「デザイン」にフォーカスをあてているのが特徴でした。とくに初代館長のアルフレッド・バー・Jr.はバウハウス、デ・スティル、“機械美学”(マシン・エステティック=アール・デコ様式やレイモンド・ローウィの流線型デザインを指す)、近代建築などを重視していました。それらは現代の建築やデザインの源流と言える存在です。
 このバーや建築部門のキュレーターだったフィリップ・ジョンソンらが収集されてきたコレクションは約28000点に及びます。その中にはデザイン・プロダクトはもちろん、ポスターや活版印刷などのグラフィック・デザイン、建築の写真や模型、ドローイング、さらにはスポーツカーやヘリコプターまでが含まれています。最近ではビデオゲームやアプリといったものもコレクションの対象になっています。アップル社やソニーの製品、川崎和男氏デザインの車椅子、ミース・ファン・デル・ローエのアーカイブなどによって、まさに20世紀以降のデザインの歴史をたどることができるのです。またショップ「MoMAストア」ではそれらのコレクションやリプロダクションも発売されており、デザインの使い心地を実際に確かめることができます。
 建物は1939年に現在の敷地に移転、フィリップ・ジョンソンやシーザー・ペリの設計によって拡大を続けてきました。2004年には日本の建築家、谷口吉生の手でさらなる増築が行われ、展示面積も倍増しています。都会の中でアートやデザインに触れられる場として、いつも多くの人で賑わっています。
ブラウン「レコードプレイヤー」1956年

ブラウン「レコードプレイヤー」1956年

Gugelot, Hans (1920-1965) and Rams, Dieter (1932-): Radio-Phonograph (model SK 4/10), 1956. Manufactured by Braun AG, Germany. New York, Museum of Modern Art (MoMA). Painted metal, wood, and plastic, 9 1/2 x 23 x 11 1/2' (24.1 x 58.4 x 29.2 cm). Gift of the manufacturer. Acc. n.: 205.1958© 2015. Digital image, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence
チャールズ・イームズ「ラウンジチェア」原寸模型 1948年

チャールズ・イームズ「ラウンジチェア」原寸模型 1948年

Eames, Charles (1907-1978): Chaise Longue, Full Scale Model, 1948. New York, Museum of Modern Art (MoMA). Hard rubber foam, plastic, wood, and metal,
32 1/2 x 59 x 34 1/4' (82.5 x 149.8 x
87 cm). Gift of the designer. SC106.1973© 2015. Digital image, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence