世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

クーパーヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム
Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

アメリカ・ニューヨーク

テクノロジーでデザインの「理由」を見せる。

アメリカで唯一のデザイン専門のミュージアム「クーパーヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム」は、実業家のアンドリュー・カーネギーが1902年に完成させた自邸を博物館にしたものです。2011年から3年の歳月をかけて改修し、2014年に再オープンしました。
建物には今も邸宅らしい雰囲気が残っています。「ティーク・ルーム」と呼ばれる部屋はライブラリーだったところ。北インドふうの彫刻で飾られています。ミュージアムのシンボル的な存在である大きな階段の手すりや天井にもびっしりと装飾が施されています。博物館自体が100年前の建築やインテリアの実例を見せてくれるのです。
展示品は有史以前から現在まで、3000年にわたって人類が生み出してきた道具や文物など、多岐にわたっています。中でも面白いのは博物館の創立者であるエレナとサラ・ヒューイット姉妹のコレクション。収集癖のあった2人はボタン、ブローチ、鍵などの細々としたもののほか、古代ギリシャの壺や、ベネチアのリアルト橋の形をした鳥籠などを集めていました。その他、石器時代の石斧や木で作った精巧な建築模型、ソットサスやカンパーナ兄弟など現代のプロダクトまで、コレクションは約21万点以上に及びます。
展示は単に美しいデザインを紹介するだけでなく、なぜそのような形や色をしているのか、観客がデザイナーの思考の跡を追ったり、デザイナーのように考えることができるよう工夫されています。エルゴノミクス(人間工学)について解説し、それがどのようにデザインに反映されているかを示す展示はその一例です。
2014年の再開館後にはタッチペンを使った、よりわかりやすい仕掛けが導入されました。大きなディスプレイにコレクションとその解説を呼び出すことができる、インタラクティブなテーブルはその一例です。また壁紙のコレクションを見せる展示室では中央のモニターで15000種の壁紙の中から好きなものを選んで、壁に映し出すことができます。模様の一部を拡大したり、自分で新しい壁紙をデザインすることもできるのです。
クラシックな建物に収められたコレクションを現代の最新技術で楽しむ。コレクションの見せ方にアメリカらしいエンターテインメント性を感じさせる博物館です。
建物は実業家、アンドリュー・カーネギーが家族のために建てた邸宅を転用したもの

Cooper Hewitt

建物は実業家、アンドリュー・カーネギーが家族のために建てた邸宅を転用したもの。

内部は天井にも手すりにも重厚な装飾が施されている。

Photo by James Rudnick © 2014 Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

内部は天井にも手すりにも重厚な装飾が施されている。

Photo by Matt Flynn © 2014 Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

内部は天井にも手すりにも重厚な装飾が施されている。

もとライブラリーだった「ティーク・ルーム」では2017年3月26日まで、ルイス・コンフォート・ティファニーを始めとする同館のコレクションのハイライトを見せる「Passion for the Exotic」展が開催されている。

Photo by Matt Flynn © 2014 Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

もとライブラリーだった「ティーク・ルーム」では2017年3月26日まで、ルイス・コンフォート・ティファニーを始めとする同館のコレクションのハイライトを見せる「Passion for the Exotic」展が開催されている。

タッチペンで壁紙コレクションから好きなものを選んで壁一面に映し出せる展示室。自分で壁紙をデザインすることもできる。

Photo by Matt Flynn © 2014 Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

タッチペンで壁紙コレクションから好きなものを選んで壁一面に映し出せる展示室。自分で壁紙をデザインすることもできる。

2016年10月23日まで開催中の展覧会「THOM BROWNE SELECTS」展会場風景。ファッションデザイナーのトム・ブラウンが選んだオブジェが並ぶ。同館のコレクションも50点以上含まれている。

Photo by Matt Flynn © 2016 Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

2016年10月23日まで開催中の展覧会「THOM BROWNE SELECTS」展会場風景。ファッションデザイナーのトム・ブラウンが選んだオブジェが並ぶ。同館のコレクションも50点以上含まれている。

http://www.cooperhewitt.org
Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum
2 East 91st Street
New York, New York 10128
U.S.A.
Tel. +1-212-849-8400
10時〜18時(土〜21時)感謝祭と12月25日休
入館料 18ドル