世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

ポンピドゥー・センター
Centre Pompidou

フランス・パリ

近代のデザインとアートを俯瞰する工場

1977年、パリ中心部に開館したポンピドゥー・センターはまるで工場のような外観で物議を醸しました。それから約40年、今ではすっかりパリの顔として定着、多くの観客を集めています。
建物を設計したのは開館当時まだ40代だったイタリアのレンゾ・ピアノとイギリスのリチャード・ロジャースの二人の建築家。ロジャースは内部と前の広場との間にコミュニケーションが起きるような建物をめざした、と言います。透明なファサードや外部エレベーターからはその通り、広場やパリの街並みが見渡せます。
コレクションは20〜21世紀の近代アートとインダストリアル・デザインを中心に近年では写真、ニューメディア、実験映画、建築資料まで、総数約10万点に及びます。デザインではシャルロット・ペリアン、アイリーン・グレイ、ジャン・プルーヴェからエットレ・ソットサス、セルジュ・ムイユまで、建築では設計者のピアノ、ロジャースら大御所からMVRDV、ザハ・ハディドら近年注目を集める建築家まで幅広く収集しています。安藤忠雄や長谷川逸子ら、日本の建築家のドローイングや模型も。これらは副館長のフレデリック・ミゲルーらが何度も来日し、地道に集めてきたものです。
膨大なコレクションはコレクション展示室で随時入れ替えながら展示されます。展示室は40程度のエリアに分けられ、小テーマごとに作品を見られます。「ジャン・プルーヴェ」「バウハウス」といった建築・デザインの資料も絵画や彫刻と明快に分けることなくその中の1室に並んでおり、絵画や彫刻、グラフィックデザインなど他ジャンルとの関連を考えながら観賞することができます。昨年は没後50年記念として大規模なル・コルビュジエの企画展を、2013年にはアイリーン・グレイの企画展を開くなど、建築・デザインに関する企画展も積極的に行ってきました。
2010年にはフランス北東部の古都、メスに日本の建築家、坂 茂の設計で分館「ポンピドゥー・センター・メス」が開館しました。日本でもポンピドゥー・センター所蔵の建築資料を中心にした「ジャパン・アーキテクツ1945-2010」(金沢21世紀美術館、2014年)などでコレクションを見る機会があります。美術だけでなく、フランスを中心に世界中の充実した建築・デザインアーカイブを築きつつある美術館です。
ポンピドゥー・センター外観

ポンピドゥー・センター外観