世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

ヘルシンキ・デザインミュージアム
Designmuseo

フィンランド・ヘルシンキ

デザインの過程や理由を見せる

マリメッコやイッタラ、アラビアなど、北欧デザインの重要な拠点であるフィンランド。「ヘルシンキ・デザインミュージアム」はそれらフィンランドを代表するデザイン・プロダクトを一堂に集めたミュージアムです。母体は1873年に創立された応用美術館でした。現在は1894年に建てられた、グスタフ・ニストゥルム設計のもと高校だった建物に入っています。
2017年にフィンランドが建国100年を迎えるのを機に、コレクション展示のコーナーは大幅にリニューアルされました。2020年末まで続く予定の長期インスタレーション「ユートピア・ナウ」では一部展示替えをしながら、フィンランド・デザインのハイライトを見せてくれます。展示は6つのパートに分かれています。「プロセス・ルーム」はデザインが製品やサービスとなって完成するまでの過程を見せるもの。「ヴァーチャル・ルーム」ではマリメッコのパターンを選んでアニメーション化したり、ヘッドセットをつけて1900年のパリ万博フィンランド館の内外を歩き回ることができます。「アイコン・ルーム」ではアイノ&アルヴァ・アアルトやハッリ・コスキネンらフィンランドを代表するデザイナーをとりあげています。「チェンジング・ルーム」では年に3回の展覧会が開かれます。「ウェアハウス」では膨大なコレクションから“希望”“民主主義”“グローバリゼーション”といったテーマに応じて展示を行います。
このコレクション展のほか、年に4〜6程度の企画展が開かれます。これまでにエーロ・アールニオといった大御所からダニエル・パリッロら若手まで北欧デザインを象徴するデザイナーの個展を開いてきました。大量生産とは一線を画したアートやクラフトに近いデザインや、気候変動やAIといった社会問題に対してデザイナーがどう対応するか、といったテーマにフォーカスをあてたグループ展も開催しています。
「ヘルシンキ・デザインミュージアム」には“サテライト”的な場所もあります。「デザインミュージアム・アラビア」はアラビアの工場だったところにある「イッタラ&アラビア・デザインセンター」の一部として運営されています。ここでは1873年以来のイッタラやアラビアの製品を通じてフィンランドのガラスやセラミックの歴史をたどることができます。「デザインミュージアム・イッタラ」は古い納屋を改装した建物でイッタラの製品やタピオ・ヴィルカラやティモ・サルパネヴァらフィンランドのガラス・デザインの粋を見せてくれます。「デザインミュージアム・ヌータヤルヴィ」は1793年に創立され、カイ・フランクやオイヴァ・トイッカらも活動した吹きガラスなどの工房に併設されたミュージアム。ここではとくにガラス製品の製造過程について詳しく知ることができます。
機能性や持続可能性を重視するフィンランド・デザイン。その最終形だけでなく、「なぜその形なのか」をさまざまな角度から見せてくれるミュージアムです。
「ヘルシンキ・デザインミュージアム」の外観。ネオ・ゴシック様式の建物に入っている。

photo: Sergio Urbina

「ヘルシンキ・デザインミュージアム」の外観。ネオ・ゴシック様式の建物に入っている。

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。マリメッコのパターンをアニメーション化できる。

photo: Paavo Lehtonen

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。マリメッコのパターンをアニメーション化できる。

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。グンネル・ニューマンら女性デザイナーにスポットを当てたコーナー。

photo: Luke Hayes

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。グンネル・ニューマンら女性デザイナーにスポットを当てたコーナー。

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。ヴァーチャル・リアリティ・ヘッドセットで1900年に開催されたパリ万博フィンランド館の内外を移動できる。

photo: Paavo Lehtonen

コレクション展「ユートピア・ナウ」の展示風景。ヴァーチャル・リアリティ・ヘッドセットで1900年に開催されたパリ万博フィンランド館の内外を移動できる。

2016年にリニューアルされた「デザインミュージアム・アラビア」。アラビアンランタ地区にある。

photo: Fiskars

2016年にリニューアルされた「デザインミュージアム・アラビア」。アラビアンランタ地区にある。

ショップのディスプレイにはミュージアムのロゴがアレンジされている。

photo: Sergio Urbina

ショップのディスプレイにはミュージアムのロゴがアレンジされている。

http://www.designmuseum.fi
Designmuseo
Korkeavuorenkatu 23, 00130 Helsinki
Tel. +358 9 6220 540
11時〜18時 冬季月曜休
入場料 10ユーロ