世界のデザイン美術館

日本のデザインを集大成し、その魅力と意義を伝え、未来の創造を確かなものにする「国立デザイン美術館」。ここでは、その先行事例として世界のデザイン美術館やデザイン・コレクションが充実しているミュージアムを紹介します。

デザイン・ソサエティ
Design Society

中国・深圳

中国のデザイン文化の拠点を目指す

2017年12月、中国・深圳(シンセン)にオープンした「デザイン・ソサエティ」。日本の建築家、槇文彦が設計した「シー・ワールド・カルチャー・アンド・アーツ・センター」(SWCAC)内にあります。文化施設と商業施設が入った複合施設です。

SWCACは槇文彦にとって中国で初めての作品となりました。基壇の上に3つのパビリオンが載っているという構成です。3つの「箱」はそれぞれ海と山、公園が眺められます。海沿いという立地を最大限に活かしたデザインです。

建物の東側には芝生が植えられた大きな板が折れ曲がったようなスペースがあり、街と海辺をつなぎます。基壇には大きな階段が二つあり、緑が鮮やかな屋上庭園へと続いています。この屋上庭園には自由に入ることができ、街や湾を一望できます。街の喧騒を逃れてのんびりできるサンクチュアリにもなっており、敷地全体が回遊できる大きな公園として機能しているのです。

「デザイン・ソサエティ」はロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアムがアドバイザーとなって運営されることになりました。開館を記念してメインギャラリーでは2019年8月まで「デザインの価値」という展覧会が開かれています。ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアムのコレクションから選び出した約250点の資料によって、10世紀から現代までのデザインを通覧し、デザインが違っても共通の価値があることを示すものです。たとえば17世紀のイランの天文機器は、一つのツールに多彩な機能を巧みに組み込んだスイスのアーミー・ナイフと一緒に並べられています。部品を板状に組み合わせて海外へと送り、組み立てられるようになっている18世紀の中国の椅子は、設計図をダウンロードして世界各地で製造できる「オープン・デスク」社のスツールと比較できるようになっています。

デザインに関する資料を展示するだけでなく、さまざまなアイデアを誘発すること、デザインに関していろいろなことを考えてもらうことも「デザイン・ソサエティ」の目的です。そのため、ワークショップやレクチャーにも力を入れています。オープン前の2015年にはヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアムと共同で「未確認のデザイン活動」と題されたリサーチを行いました。深圳のものづくりの現場を訪ね、これからが期待されるクリエイターや起業家に光をあてようというものです。このプロジェクトで見出されたプロダクトのうちいくつかは同年に開かれた深圳ビエンナーレや、デザイン・ソサエティのヴィクトリア・アンド・アルバート・ギャラリーで展示されました。

中国では経済発展に伴ってデザインの重要性にも注目が集まっています。デザイン・ソサエティはデザインについて総合的に学び、体験する機会を通じて、中国のデザインをよりクオリティの高いものにすることを目指しているのです。
「デザイン・ソサエティ」が入っている「シー・ワールド・カルチャー・アンド・アーツ・センター」全景。海・都市・山の結節点に建っている。(2017年9月撮影)

©Design Society

「デザイン・ソサエティ」が入っている「シー・ワールド・カルチャー・アンド・アーツ・センター」全景。海・都市・山の結節点に建っている。(2017年9月撮影)

大きな階段から自然に屋上庭園へと導かれる。

©Design Society

大きな階段から自然に屋上庭園へと導かれる。

屋上庭園にはアート作品が点在している。

©Design Society

屋上庭園にはアート作品が点在している。

エントランス・ロビー。全面がガラスになった壁から外の景色が見える。

©Design Society

エントランス・ロビー。全面がガラスになった壁から外の景色が見える。

吹き抜けにも大型作品が展示されている。

©Design Society

吹き抜けにも大型作品が展示されている。

2019年8月4日まで開催中の長期インスタレーション「デザインの価値」展に出品されている、「オープン・デスク」デザインのスツール。オンラインで送られてきた設計図に従って板を切り出し、組み立てる。特定の場所にある企業ではなく、世界中の個人がメーカーになる。2015年。

©Design Society

2019年8月4日まで開催中の長期インスタレーション「デザインの価値」展に出品されている、「オープン・デスク」デザインのスツール。オンラインで送られてきた設計図に従って板を切り出し、組み立てる。特定の場所にある企業ではなく、世界中の個人がメーカーになる。2015年。

「デザインの価値」展、ペーター・ベーレンスがデザインしたAEGの電気ケトル。1908年。

©Design Society

「デザインの価値」展、ペーター・ベーレンスがデザインしたAEGの電気ケトル。1908年。

2018年6月3日まで開催している「Minding the Digital」展、ジェニー・サビンの「PolyThread」。暗くなると昼間、蓄えた太陽光で輝く。©Zhang Chao

©Design Society

2018年6月3日まで開催している「Minding the Digital」展、ジェニー・サビンの「PolyThread」。暗くなると昼間、蓄えた太陽光で輝く。©Zhang Chao

「Minding the Digital」展、シュトゥットガルト大学ICD/ITKEラボのリサーチ・パビリオン。甲虫の殻をヒントに、コンピュータで自動的にデザインを生成している。©Zhang Chao

©Design Society

「Minding the Digital」展、シュトゥットガルト大学ICD/ITKEラボのリサーチ・パビリオン。甲虫の殻をヒントに、コンピュータで自動的にデザインを生成している。©Zhang Chao

http://designsociety.cn/en
Design Society
Sea World Culture and Arts Center
1187 Wanghai Road, Shekou, Nanshan, Shenzhen, China
Tel. +86 (0755) 2667 1187
10時〜22時(金・土〜22時30分)
入場料 企画展により異なる